檜佐木さんに抱き抱えられ、地獄蝶に先導されて現世を目指す事に不安はあるものの 行かなきゃ(帰らなきゃ)ならないなら行く(帰る)しかない。 そこに何が待ち受けていようがそれしかないというのなら、今の俺には従うしか他はない。 って考えてるのは事実だけど。 現世に居られるような状況じゃねぇから尸魂界に逃げたってのに? 逃れた先に逃れなきゃならないって俺って一体どんだけ不幸なんだ!? そうなった原因は浦原の野郎にあるけどそれを利用して俺を尸魂界に置き去りにしたのは斬月で、 そのお陰で瀞霊廷でドえらい目にあったのが紛う事なき事実。 最も信頼すべき相手に裏切られた傷心の俺にまだ試練与えようってのはどこのどいつだちきしょう 掛かってきやがれ返り討ちにしてやるっ!!!! 28.何ていうかもうホントどうでもいいわ…。 檜佐木さんと共に戻って来た現世by浦原商店の茶の間。 そこには何故か逃げ出した時とそう変わらない状況の浦原さんが居た。 「何してんだよ浦原さん…。」 そして、浦原さんは畳に力なく横たわったまま顔だけをこちらに向け滝のような涙を流しながらこっちを見る。 ぶっちゃけキモイからこっち見んなよって喉まで出掛かったけど我慢だ我慢。 「つぅかマジ何かあったのか?」 俺と斬月がここを逃げ出す時、浦原さんは紅姫と楽しそうに戯れてたっけ…ってもしかして。 「ついさっき終わったトコなんスよ…。」 「何が…?」 「罵倒されながら殴る蹴るの暴行っス。」 …やっぱりか。 「急な呼び出しのお陰で中断したんスよ暴行が!っあの呼び出しが無かったら今頃アタシっ!」 「っそりゃ大変だった…な。」 「あのアバズレ…。」 オイオイ仮にも自分の斬魄刀だろアバスレってちょっと云い過ぎじゃね? 「っそれより一護サン、やっとアタシの元に戻ってきてくれたんスね!」 「いや単なる避難だ。」 「あの…浦原さん。」 「…………誰っスかアナタ。」 「九番隊副隊長、檜佐木修兵です。実は斬月に秘密裏に頼まれてまして…。」 「何をっスか。」 「黒崎一護を狙う逆光眼鏡が接触を図ってきた場合、速やかに現世に逃れるように…と。」 「で?接触を図ってきたから速やかに逃れてきた…と?」 「ええ。逆光眼鏡より浦原喜助の方がまだマシだと…。」 成る程そういう理由だったのか全然知らなかったわ俺。 けど浦原さんの方がマシとか基準はドコにあんだ? 斬月基準なのかもしんねぇけど判断基準は何だよったく…。 「っていうか檜佐木さん、取り合えず下ろしてくんねぇ?」 「………………チッ。」 「そうっスね。とっとと一護サンを下ろしてさっさとお戻り下さい。」 「………………あ゛ぁ゛ん?」 「おや?聞えませんでしたか。さっさと一護サン下ろして尸魂界に戻れって言ってるんスよ。」 「オイオイその言い草は無いんじゃねぇのか?一体誰が黒崎を保護してたと思ってやがる。」 「アナタの下心に気付かないとでも?」 「下心があって何が悪い。」 「聞きましたか一護サン。檜佐木副隊長サンがお認めになりましたよ醜い欲望を抱いていると。」 「アバズレの斬魄刀に半殺しにされてるようなフヌケに言われたところで痛くも痒くもねぇよ。」 「まるっきり居直り強盗っスねアナタ。この際ハッキリ言っておきますが一護サンの身も心も全てアタシの物なんス。」 「寝言は寝てから言えよ?ってそういや寝たきりだよなアンタ!」 っていうかアンタ達二人とも俺の存在忘れてんじゃねぇの…? 大体俺を無視して言いたい放題しやがって! 『どうしようもない男はいい加減見切り付けた方がええよ?』 ───── だよなぁ…二人共完璧に俺の事無視してるし。 『本人の意思を尊重するならともかく、本人は完全に蚊帳の外…。』 ───── そうなんだよ!コイツらさ、俺を何だと思ってんだろうな! 『たまには反撃してみるのもええんと違う?』 ───── 反撃………? 『そう、反撃…や。みんな今の君の状態やったら何も出来へん思てるから言いたい放題好き勝手し放題。』 ───── ってそれじゃ俺にも責任あるんじゃねぇか…。 『君に責任なんかあらへんよ。君の事考えてるフリして結局誰も君の事なんか考えてないんや。』 そうなのか?っていうか誰だよお前っていうか俺一体誰と会話してんだ!? 『ボク?名前言うてへんかった?』 ボク、市丸ギン言いますお久しぶりやねぇ ────────── そう言って、突然現れた市丸ギンはおもむろに俺を抱き上げ 「ほな遠慮なく頂いて行きますごゆっくり〜…。」 その登場に全く気付いてない浦原のバカ野郎と裏切り者の檜佐木さんにちゃんと断りを入れて俺を拉致したのだった。 → 戻 ←